2020年6月24日、電子タバコ「IQOS(アイコス)」を販売するフィリップ・モリス・ジャパン合同会社に対して、消費者庁が景品表示法違反に当たるとして課徴金5億円の納付命令を命じました。
その景品表示法違反の課徴金額はなんと5億円で過去最高額となります。
さらに驚くべきは虚偽広告での売上は約184億円にものぼることです。
虚偽広告による売上が約184億円となる理由や虚偽広告の内容、騙された人は返金されるのかについてまとめました。
アイコス虚偽広告による売上金額は約184億円!?
【アイコス広告 課徴金5億円超】https://t.co/3Ptosrmew6
「アイコス」の広告で値引きを「期間限定」としたのは虚偽だとして、消費者庁はフィリップモリスジャパンに、景品表示法違反で約5億5200万円の課徴金納付を命じた。課徴金制度が導入されて以来、最高額。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) June 24, 2020
2020年6月24日「アイコス」の販売会社であるフィリップス社に対し約5億5200万円の課徴金納付命令が出されました。
この件は、約1年前の2019年6月21日に消費者庁がフィリップス社に対し行政処分を下した事件に基づくものです。
【アイコス限定値引きは虚偽 消費者庁が措置命令】
加熱式たばこ「アイコス」を値引きすると虚偽の宣伝をしたとして、消費者庁はフィリップモリスジャパンに対し、景品表示法違反(有利誤認)で再発防止を求める措置命令を出しました。
写真は同社提供
記事はこちら⇒https://t.co/JjZHK1KAW3 pic.twitter.com/GOdKpzisLk
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) June 21, 2019
行政処分から課徴金納付命令がでるまでに約1年も経っている理由は、虚偽広告の対象期間が長く、課徴金額が高額だったため調査に時間がかかったのではと考えられます。
今回フィリップス社の虚偽広告に対する課徴金額は過去最高額として話題となっていますが、一方で注目したいのが、フィリップス社の虚偽広告による売上金額です。
景品表示法の課徴金の算出方法は、
課徴金額の算定:対象商品・役務の売上額に3%を乗じる。
引用:フィリップ・モリス・ジャパン合同会社に対する景品表示法に基づく
課徴金納付命令について(https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_200624_02.pdf)
となっています。
つまり、課徴金額が約5億5200万円とすると、虚偽広告で売り上げた金額は
5億5200万円÷3%=約184億円!
行政からの課徴金により会社の規模によっては破産したり、経営が傾いてしまったりするケースもあるかもしれません。(悪いことをしているので仕方ないですが・・・)
しかし、今回の売上金額184億円という数字だけを見ると、虚偽広告をしていたのに売り逃げで得をしているのでは?とも思えてしまいます。
虚偽広告による売上額が184億円に対し、課徴金が5億円というのは高いものなのでしょうか。
アイコス虚偽広告の内容とは
今回問題となっているフィリップス社によるアイコスの虚偽広告とはどんなものだったのでしょうか。
引用:https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_200624_02.pdf
上記画像のようにキャンペーン期間を表示していましたが、実際はキャンペーン期間が終わっても、期間を変えながらほぼずっと同じキャンペーンをやっていたようです。
つまり、「今だけのキャンペーンで買うとお得だよ!」と言っておきながら、実はほぼずっと同じ価格で販売しており、キャンペーン価格が実質通常価格(定価)になってしまっている状態です。
普通に嘘ついちゃダメでしょって思いますが、フィリップス社ではコンプライアンス上問題と感じる人はいなかったのか疑問に思います。
実際キャンペーンにつられて買ってしまった人にとっては、裏切られた気持ちになってしまいますね。
騙された人は返金されるのか?
景品表示法で課徴金納付命令が出された場合、企業は消費者に返金した金額だけ課徴金額から減額を受けることができる返金措置制度を利用することができます。
消費者への返金額は、「購入額に3%を乗じた額以上の金銭」となっているため、購入金額の3%しか返金されないないこともあります。
制度の目的としては、被害を受けた消費者への救済措置として位置づけられています。
しかし、消費者庁の「平成30年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」によると、課徴金納付制度が始まった平成28年度から平成30年度まで課徴金納付命令が40件です。
そのうち返金措置がとられ消費者庁に認定されたものは、次のたったの3件となります。
- 日産自動車株式会社・・・自動車の燃費試験データの不正
- 三菱自動車工業株式会社・・・自動車の燃費試験データ不正
- グリー株式会社・・・フィーチャーフォン向け抽選キャンペーンで当選本数誤表記
返金措置が少ない理由
課徴金納付命令が出されても返金する企業が少ない理由は2つ考えられます。
1.購入者が特定できない
返金を行うためには、購入履歴が確認できなければなりません。
つまり、店頭で購入したのであれば、虚偽広告が行われていた期間に購入したことがわかる領収書やレシートが必要です。
しかし、ちょっとした買い物であれば、領収書やレシートを数年にわたって保管している人は少ないと思います。
そのため、購入履歴が確認できず返金が難しくなります。
実際に返金措置を行った企業では、自動車であったりフィーチャーフォンからの応募であったりと、企業側が購入者のリストを持っていると考えれるのが特徴です。
2.返金するよりも課徴金を全額納付したほうがコスパがいい
企業からすると消費者へ返金するのはとてもコストが掛かります。
ぱっと考えただけでも、消費者からの問い合わせ、購入履歴の確認、返金にかかる手続きなど、多大な時間や費用がかかります。
そう考えると、返金措置はせずに課徴金をそのまま全額納付したほうが、企業にとっては負担が少ない方法となってしまうのです。
被害者の救済には課題のある制度となっています。
アイコスの虚偽広告で騙された人は返金されるのか?
フィリップス社は、まだ返金するかどうかの公表をしていません。
今後の動向に注目です。
まとめ
アイコスの虚偽広告による売上は約184億円でした。
課徴金納付命令には返金措置の制度がありますが、返金するかどうかは企業の判断に委ねられています。
返金されるかどうかは今後の動向に注目です。